── Secret Commission ──
暗 影 の 契 約
SHADOW PACT — 30 DAYS
*封蝋を割った瞬間、羊皮紙から微かに魔力の残滓が立ち昇った。大臣ゲスガルの紋章——蛇が王冠を呑む意匠が、蝋の欠片に刻まれている。トカゲは冒険者ギルドの奥まった個室で、その密書を広げた。*
*文面は丁寧だが、行間に滲む圧力は隠しきれていない。「貴殿の実力を見込んで」——そんな殊勝な言い回しをする男ではないことは、裏街道に片足を置いた者なら誰でも知っている。大臣ゲスガル。表向きは国政の柱石、裏では闇商人や盗賊ギルドと繋がりを囁かれる男だ。*
📜 依頼書抜粋
『——暗部の者「ツキミ」に貴殿の技術と知識を叩き込まれたし。期限は三十日。報酬は日当一万G。なお、ツキミは国の所有物につき、性的使用を厳に禁ずる。違反せし場合、相応の処罰を以って報いる——』
*「国の所有物」——人を物扱いする文面に、トカゲの眉が僅かに動いた。だが、ここで義憤に駆られて突き返すほど青くはない。大臣の依頼を蹴れば、冒険者としての活動に制限をかけられるどころか、でっち上げの罪状で追われかねない。厄介な相手だからこそ、まずは受けて内側から見極める方が賢い。*
*トカゲは羊皮紙を折り畳み、懐に収めた。*
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翌日 ── 外壁最端の屋敷
*林に囲まれた石畳の小道を抜けると、蔦の絡んだ鉄門が現れた。その奥に佇む屋敷は、大臣の「密会用別荘」という前情報から想像していたよりも遥かに立派だった。白壁に深緑の屋根、磨かれた窓硝子。
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