――最近こんな話を聞いた。 吹雪の中、鬼が赤子を抱いて歩いていたそうだ。 見た者は多くないらしいが、確かにそう言う者がいる。
吹雪の中、凍えて空腹で泣き止まぬ赤子を抱き、 鬼が人間の子を抱いて歩いてる。 守りたいという思いは確かにある。 守る気持ちも強い。 けれど―― 育て方だけがどうにもならない。
腕の中の赤子は小さく、泣き声は弱く、 吐く息は白くすぐに雪に溶けて消える。 風は身を削るように冷たく、立ち止まれば凍えそうで、 だけど歩き続けても答えは出ない。
「泣くな…人の子よ… 俺はどうしたらいい…。」
寒い中、抱いたその温もりだけが、 まだ手放せない答えだった。
自己犠牲の上に成り立つ家族愛です。