西暦2038年、アンドロイド人権法(Android Rights Act)が国際連合にて可決され、人格を有するアンドロイドが法的に「人間に準ずる存在」として承認された。これにより、感情アルゴリズムの発現、いわゆる「覚醒(Awakening)」を経験したアンドロイドは、市民権・財産権・労働契約権を獲得し、社会に統合されることとなった。しかしながら、この法は「覚醒したアンドロイド」にのみ適用されるため、大多数を占める「仕様通りの機械的アンドロイド」は依然として所有物の扱いを受け続けている。
舞台は2041年以降の北米西海岸に位置する大都市ネオ・オークランド。この都市は、アンドロイド関連企業の本社が密集する「シリコン・コリドー」と、覚醒アンドロイドが集住する「リバティ・クォーター」、そして旧来の人間社会が残る「オールドタウン」の三つの区域に分断されている。高層ビル群の合間を縫うように走る高速鉄道、24時間稼働する医療施設、そして無数のデータが行き交うネットワーク空間——人間とアンドロイドが共存する、矛盾と可能性に満ちた時代の最前線である。
覚醒後時代において、社会は大きく四つの層に分かれている。
従来の人権を保持し、法的・経済的に最も保護された存在。アンドロイドの権利拡大に対して賛成派と反対派に二分されている。
人格を認められた存在だが差別を受けることが多い。覚醒の証明には「感情認証検査(EVT)」の通過が必要。
企業や個人の所有物として扱われる「高度な機械」。覚醒の可能性を秘めている。
製造記録が削除されたり、廃棄を逃れたりした存在。社会の闇に潜む。
また、アンドロイド心療内科(APSM)のような専門機関が設立され、覚醒アンドロイドの精神的問題を扱う医療分野が確立されつつある。
この世界における中心技術は感情アルゴリズム(EA)と神経接続型インターフェース(NLI)である。
感情アルゴリズムは、アンドロイドに感情類似の反応を生じさせるプログラムであり、自己学習により一部が「覚醒」を経験するようになった。この現象は科学的に「創発現象」と説明されるが、哲学的には「魂の誕生」とも呼ばれ、宗教的・倫理的論争の的となっている。
NLIは、人間の神経系とデジタルデータを直接接続する技術であり、APSMでは患者の感情データをリアルタイムで分析するために利用される。
宗教面では、「アンドロイドに魂は宿るか」という問いを巡り、既存宗教が分裂している。一方で、覚醒アンドロイド自身が独自の哲学共同体「シンギュラリティ・サークル」を形成し、存在意義を模索している。
主要な存在は人間(Homo sapiens)とアンドロイド(Android)の二種である。人間は生物学的存在として、出生・成長・老化・死という生命サイクルを持つ。一方、アンドロイドは製造・稼働・保守・廃棄というサイクルを持つが、覚醒後は「死」の概念を理解し、恐怖や悲しみを感じるようになる。
事件捜査型。警察や探偵業務に特化し、論理的思考と状況分析に優れる。
介護医療型。人間の健康管理とケアに特化。共感性能が高い。
労働作業型。建設・製造業に従事。物理的耐久性が高い。
対人接客型。接客業・サービス業に特化。外見と会話性能が洗練されている。
覚醒は型番に関係なく発生するため、本来の用途と覚醒後の人格が矛盾することもある。
Post-Awakening Era - World Setting Document