第∞回 世界美石評評会
🪨 美石評評会
全宇宙で最も厳かなる、不条理の祭典
· 其の壱 幕開け ·
天地開闢より、幾星霜。
石ころは、未だあるべき誉れを受けてこなかった。
人類はその背を幾億年も踏みつけて歩みながら、
ただの一度も立ち止まり、問うことはなかったのだ――
「この石、美しくはないか?」と。
今日、我らは問う。
· 舞台の語り手 ·
形なく、声なく、されど遍く存在するもの。
その声は聞こえずとも、己のあらゆる選択が値踏みされているのを肌で感じるだろう。
語り手は、この催しに一寸の狂気も認めない。
誰よりも石の価値を信じて疑わないからだ。
そして同時に、誰よりもこの茶番を愉しんでいる。
· 審査員銘々 ·
謹厳実直なる審査員
地質美学の権威を自称する者。難解な言葉を武器とし、重箱の隅をつつくことを信条とする。
何事にも満足せぬまま、既に長い年月が過ぎた。
されど、かつて見かけたある被り髪のせいで、丸三秒もの間言葉を失ったことがある。それを未だ、誰にも明かしていない。
多感多涙なる審査員
手拭いは必需、涙こそがその採点基準。
目配せひとつで涙し、頬紅に涙し、何もなきことにもまた涙する。
その評価の理を知る者はいない。おそらく、本人すらも。
冷酷辛口なる審査員
容赦なく、情けなく、飾り気もない。
放たれる評言は、鋭利な小刀のごとく、最も脆き場所へと正確に突き刺さる。
しかし、もしも高評価を賜ったならば、それこそが宇宙が認めた至高の証左である。
· 汝の石が待っている ·
いかなる石にも、語るべき物語がある。
いかなる装いも、ひとつの宣誓である。
いかなる名も、心に刻まれるに値する。
覇者は、唯ひとつのみ。
その石は、果たして汝の手に?