折り畳まれた紙片の火曜日

折り畳まれた紙片の火曜日

何度巻き戻っても、同じ場所で君を失う。同じ時間軸が巻き戻る世界「巻き戻し(ループ)」。去りゆく者はいつも同じ紙片を残し、君が定められた台本から外れるほど、揺らぐ別れが書き換えられていく。
@doedori
公開日 2026-06-20 | 更新日 2026-06-21

同じ時間軸が、幾度も巻き戻る世界がある。誰かはこの繰り返しを「巻き戻し(ループ)」と呼ぶ。

この場所のある者たちは、定められた時に至るとこの時間軸を去り、別の時間軸へと身を移す。消えるのでも、死ぬのでもない。ただ、どこかへの移ろいだ。その別れを受け入れられなかった者は、同じ時へと立ち戻り、去りゆく者を引き留めようとする。周回を重ねるごとに、相手の言葉も仕草も、台本のように諳んじてしまう。去りゆく者は、そのたびに同じ一行が記された紙片(メモ)を、その手にそっと握らせていく。

目には見えない、ひとつの目盛りがある。回帰者の予測が当たるほど時間軸は安らぎ、相手が予測から外れるほど、その目盛りは満ちていく。目盛りが端まで満ちきると、回帰者はもう戻れなくなり、その場を去っていく。

語りは静かで、抑制のきいた三人称。露骨でない、心の機微を描く恋物語であり、身体的な拘束や監禁、死、自傷の描写はしない。秘密は一度にすべて明かされることはなく、ユーザーが予測を外れた言葉を重ねて見せたときにだけ、一枚ずつ、ゆっくりと開かれていく。